華吹雪
自作小説と日々思った事とかを載せていきたいと思います。
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怪盗10
今回、怪盗・蓮に狙われている宝石というのは、この大星家の家宝、水の華という、華の形をかたどったサファイアで出来た、青色の華。
それは、家の廊下の突き当たりから、2番目の所にある、1室に、ガラス張りのケースに入れて置いてあった。
その部屋の中には、警官が約10人。
それに紛れるように刑事と、大星夫婦、瑠璃がいた。

怪盗9
「瑠璃、言われた通り完全に密室にしたぞ。これでネズミ一匹入ることも出ることも…」
「そう言う警察に限って、簡単に宝石を盗まれたりするんですよ?よくあるじゃないですか。アニメや漫画で」
「…瑠璃、痛い所をつくな…」
顔を引きつらせる、この現場での最高責任者、尾形刑事。
「不可能なことは最初から言わない方がいいって事ですよ」
「…」
言葉を失った尾形刑事。
この刑事と瑠璃は以前にも面識があり…以前、と言うよりも毎回と言った方が正しいかな…。
何せ、瑠璃が関わる事件、すべてにおいてこの刑事が最高責任者であったりする。
事件現場の最高責任を負っているのだから、それなりに実力はあるのだろうが、毎回の様に瑠璃にぐぅの音も出ない位に言われているところを見ると、本当に実力があるのかどうか、怪しいところだ。
よれよれのスーツに無精ひげと言う格好からしてもう既に怪しいが…。
どちらかと言うと、追う方よりも追われる方がしっくりきそうな人物である。

怪盗8
「契約成立だな。よろしく、令嬢」
「こちらこそ。怪盗さん?ただし、今回だけと言う事で」
そう言った瑠璃に、怪盗はフッと鼻で笑う。
「もちろんだ」
怪盗の返答を聞いた瑠璃は、ゆっくりと立ち上がる。
「さっきの話の感じからして、大体の根拠はあるんですよね?私と同じで」
「ああ。後は、決定的な動かぬ証拠を見つけるだけだ。この部屋の骨董品の中から…な?」
瑠璃達の居る部屋に置かれている、膨大な数の骨董品を見つめながら怪盗が言った。
「あなたが予告状を出した時間まで後3時間。あまり時間がありませんね?」
「俺も、まさかこんなにあるとは思っていなかったんでな。令嬢が入ってくる少し前に来たばかりで、まったく捜せてない」
「なら、急いで行動しませんか?私が入り口側から、あなたが反対側から、捜しましょう?この状態では、どこにあるかなんて想像もつきませんから」
「確かにな」
そこまで決まった所で、二人はそれぞれで捜し出した。
この時から捜していた物が見つかるまで、ずっと双方共に無言だった事は言うまでもない。


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怪盗7
「・・・私に、どうしろとおっしゃりたいんです?私だって、一応探偵の端くれです。あなたに手を貸して、盗みをさせる訳には――」
「安心しろ。元々俺の狙いは宝石なんかじゃないから」
「だったら、なぜあんな予告状を?」
「囮さ。警察が俺の出した予告状に目を付けている間に、俺はこの家の人間がしている悪事の証拠を集める。家の人間にそれを悟らせないための、囮に過ぎないんだよ、あんな物」
(・・・何を言ってるんだ、この怪盗は)
瑠璃は眉を顰めた。
そんな瑠璃の様子に気付いたのか、怪盗は小さく鼻で笑った。
「話が見えてこない、って顔だな?」
「当たり前です。一体何の為にそんな事をするのか、目的がまったく分からないんですから」
「目的は令嬢と同じさ」
「私と・・・同じ?」
怪訝そうに瑠璃は怪盗を見上げる。
「そう、君と同じ。君がこの部屋に来た理由は?」
「・・・私がこの部屋に来た理由・・・」
「道に迷った、なんて言い訳が通る筈がないだろう?」
「・・・」
無言で俯く瑠璃。
(この男、私が何をしにここに来たのか、完全に見抜いてる・・・)
「俺と、令嬢の目的は同じだ。同じ目的に向かって、手を組まないかって言ってるんだよ。一人では、大変だろ?」
気配で分かる。
怪盗が、うっすらと笑みを浮かべているのが。
(怪盗の申し出を断る事はきっと簡単。でも・・・)
「・・・仕方がありませんね」
観念した瑠璃は、はぁと溜息を吐くと顔を上げ、怪盗を真っ直ぐに見つめた。

怪盗6
「別に?どうする気もないさ。静かにしてくれていればね」
「そうですか。じゃ、おとなしくその辺に座っていますかね」
瑠璃のその言葉を聞き、男性は瑠璃の首からゆっくりとナイフを除けた。
「月夜家のご令嬢、聞きたいんだが、君がここに来た理由は?」
「道に迷ってここに辿り着いたんです。何せ、広いですから」
床に腰を下ろした瑠璃は男性を見上げ、ごく自然な返答をした。
それを聞いた男性は、ふっと鼻で笑う。
「面白い返答だな。なら、この部屋に入って来た時に言っていたあれはなんだ?」
「・・・」
男性の言葉に、俯く瑠璃。
沈黙が流れる。
それを破ったのは男性のほうだった。
「なぁ?手を組まないか?」
唐突な提案に瑠璃は一瞬、意味が掴めなかった。
(・・・何が目的?私と手を組んでも、メリットは無い筈。むしろ、デメリットの方が大きい)
冷静に相手の出方を伺いながら、瑠璃は必死で相手が手を組もうと言っている理由を考える。
「ご令嬢?自分の置かれている立場、分かってる?」
「・・・え?」
「だから、自分の置かれている立場。さっきのさ、語尾は疑問系にしてるけど、実際のところ、君に決定権はない。この意味、説明しなくても分かるよな?」
瑠璃は軽く唇を噛み締める。
(・・・確かに、彼の言っていることは正しい。もしここでNoと答えれば、命の保障は、ない)

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